素人でも塗れる壁
塗り壁材の建材メーカーにとって左官職人の減少、高齢化が問題として挙がっているようだ
ドイツから漆喰系の塗り壁材を輸入している社長は対策として
簡単に使えるものをつくっていかなければいけない
そういう製品の改良、もしくは創意工夫がある程度必要であるという
又ある設計家は左官の名人が壁を塗れば、その壁だけが美しいのではなく
この壁に映える床の仕上げ、天井、すべての中に素材が持つ良さが浮かび上がってくる
計算されてトータルで仕上がっている
と左官の技能に理解がある人もいる
しかし、反面、左官がいなくなると、素人でも塗れる時代が来ようとしているともいう
今、素人の人、設計家も壁を自分で塗れる、塗りたいという人が多い
壁を塗ることと、仕上げることの違いが分かっていないようだ
左官技能は壁を塗って、塗り壁材の水引を待って表面を仕上げる技能である
塗れることと、仕上げられることは全く違うのである
左官の壁材は、本来は自然素材、土、しっくいである
自然素材は、塗厚みを均一な厚みに塗り付けないといい色に仕上がらないし
水引のタイミングを見る感性が必要となる
仕上げが終わって壁面が濡れた状態では、色むらは判らない
壁面が乾かなければいい仕上がり状態が判らないのが
自然素材の難しいところであるし、そこに左官の醍醐味がある
左官は同じ厚みに塗る技能、仕上げの感性を身に付ける為に、5年、10年の研鑽を積む
素人には同じ厚みに塗れる技能はないし、仕上げられる技能も感性もない
素人でも塗れる壁材はいい加減な厚みでもいい色に仕上がるように
化学合成樹脂を添加しているのだ
自然素材の特質は高い吸放湿機能にある
その特質により快適湿度を保ち、マイナスイオンの空気をつくり
住まう人の、健康、命を守れることにある
樹脂を添加すれば、素人は塗れるが呼吸機能の無い壁になる
メーカーは樹脂添加の呼吸しない壁を作りまくっているし
メーカーのカタログ、試験データーを信用し採用する設計家、建築屋も多い
樹脂無添加の珪藻土壁「エコ・クイーン」は難しいといって嫌われている
現代は素人でもできる簡単、便利で、楽なものを求める風潮がある
簡単、便利で楽なものに本物が持つ、震えるような感動は無いと思うのだが
住まう人の健康、命を守れる本物の居住空間を考える
メーカー、設計家、建築屋が少ないのが残念である