コンクリート直仕上げの問題点
現在建築における左官の役割は非常に分かりにくい点がある
左官は壁、床を塗って仕上げて、1400年生業としてきた技能集団であるが
現代建築には塗り壁、床が無い
塗壁、床が無くされても、左官が生き残ってきた理由を
茨城県建築関連団体交流会における意見交換の補助資料としてまとめてみた
昭和50年前後3年間で建築の外壁、内壁の仕上げが、左官の塗壁からコンクリート打ち放し仕上げか
内壁はGL工法に変った
本来であれば塗り壁が設計図書の仕上げから無くされた時点で
左官は建築から姿を消す運命にあったと思うが生き残ってきた
壁、床コンクリート直仕上げ、平坦さの誤差の調整の問題点
コンクリート直仕上げには壁、床があり、仕上げの平坦さの程度には
☆3mで7mm (☆壁 化粧コンクリート打ち放し仕上げ・塗装・クロス下地)
(☆ 床 樹脂塗り床・ビニール系床材張り・床直仕上げ下地)
☆3mで10mm(☆ 壁 仕上げ塗材下地)(☆ 床 カーペット張り・セルフレベリング下地)
☆1m10mm、(☆ 壁 タイル・モルタル塗下地)(☆ 床 タイル・モルタル下地)の
三つの標準値が有り、誤差を認めた仕上げである。
コンクリート打ち放し仕上げ、コンクリート直仕上げの誤差の問題点は
☆第一に壁コンクリート打ち放し仕上げは仕上げといいながら
外壁の仕上げ塗材(吹付け)下地は、下地調整といい、下地調整塗材で1~10mm塗って
左官が仕上げなければ吹付け仕上げが出来ない下地である
内壁コンクリート打ち放し仕上げは素地調整で下地調整材を1~2mm
左官が塗って仕上げなければ塗装、クロス仕上げはできない下地である
☆ 第二に、上記の如く、コンクリート直仕上げは平坦さの誤差を認めた仕上げであるが
各種仕上げの最終段階においての出角、入り隅、見切り、壁の仕上げにおいて
日本は美意識の高い建築故に、限りなく仕上げの程度をゼロに近い精度を左官は求められる
日本の美意識は建築においても限りなく真っ直ぐな線、面を求めてやまない
その誤差とゼロの調整と下地調整・素地調整が現在の左官仕事の多くを占めている
誤差の調整は設計図書に記載不可能の工事である
コンクリート直仕上げ一番の問題点は、誤差の調整、下地調整・素地調整の仕事では
左官技能の維持、習得、継承が不可能なことである
理由は左官の鏝には、塗り付け鏝、肉厚が有り重い鏝と仕上げ鏝、肉厚が薄い軽い鏝の二種類ある
左官技能は重い鏝で平らな壁を塗り、塗った仕上げ材が締まった後で表面を軽い鏝で押さえ
磨いて壁を仕上げる工法である
下地調整・素地調整、誤差の調整は軽い鏝だけで仕上げられる工法である
軽い鏝では平らな壁を塗る事は不可能であり
重い鏝を使用する左官の塗壁が無い現状では
平らな壁を塗る伝統左官技能の維持、習得、継承が困難になっている
現在やっと入ってきた若者に教える壁、現場が無いと青年経営者が嘆いている
設計家の先生方に是非分かって貰いたい
コンクリート直仕上げの問題点である
左官をいらないといっても左官がいなければ
コンクリート直仕上げは完成しないし、建築は完成できないと思う