茨城県に陳情

左官の後継者育成、技能維持継承の為には設計図書に左官の塗り壁が絶対
必要である。
公共工事に左官の塗り壁の採用の陳情に地元県議会議員の口利きで
茨城県知事に要望書を提出した
内容は次の通りである
平成24年9月28日
茨城県知事 橋本 昌 様
茨城県左官工業連合会
会長 根子 清
水戸市千波町2830番地5
電話 029-241-4057
 要望書
貴職に対し、次の3項目について要望します。
1.貴庁の建築計画には、自然環境に配慮した漆喰系の左官塗り壁の採用をご検討願います。
2.「左官塗り壁」採用にあたっては、地域産業の復興と後継者の育成に配慮し、当連合会会員にも多数在籍する厚生労働大臣認定の技能士資格者が工事に参加できますようにご配慮願います。
3.公共建築物への「左官塗り壁」採用に向け、最新の左官業界の動向や技術に関する情報交換の機会をご検討願います。
要望理由
[背景]
日本建築は、日本の持つ気候風土に順応して発展をし、その意匠や構造の美しさは世界に誇りうるものとなっております。左官につきましても、古来よりの土壁塗、漆喰塗りの伝統技術に始まって近代のセメント系の技術に至るまで常に改良・改善を重ね、時代に応じながら伝統的な技法を伝えているところです。
昨今の建設業の工業化、合理化のもとに昭和50年代頃より左官の塗り壁は、コストがかかる等という理由で無くされ続け、現在の設計図書においては左官の塗り壁が皆無のものがあります。さらにバブル崩壊後の長い不況が零細業者の多い左官業界の経営を直撃し、技術の向上、作業工程の合理化、コスト削減などの日夜の努力もはや極限の状況になり、左官業界の経営が成り立たなくなっております。
 元来左官技術は建設業の中でも技能要素が高く、習得までに年数がかかり、又機械化が出来にくい面があり、水仕事、汚れ仕事として若者に不人気な職種でございましたが、先人の英知の中で職場環境の改善、労働環境の改善、技術の改革に努め、技能の継承をはかり、漸くにしてその技能が社会に認知されるところまで至っております。
しかしながら、設計図書に左官の塗り壁が無い現状においては、若年後継者は左官技能の習得はできません。
塗り壁が無い現状では若年後継者への左官技術の維持、継承は不可能であります。
特に若年者の入職が無い、技能者の高齢化が著しい左官業界現状では若年後継者の育成は難しくなっております。左官連合会の会員も最盛期の800名から現在73名と減少し存亡の危機に直面しています。
 左官塗り壁の適正な施工は、知識と経験の豊富な技能者による施工が前提であり、当連合会は、地域産業の復興と後継者の育成に努め、多くの厚生労働大臣認定の技能士資格者を有しております。
[左官壁の効用]
 最近の報道では、居住環境の問題でシックハウス、シックスクールが大きな社会問題になっており、土壁、漆喰壁に代表される古来よりの左官の塗り壁は、自然素材を使用するものが多く、人の健康を守る、年月とともに劣化しない、地球の環境を汚さない優れたものであることが社会的に再認識されております。
当連合会で普及に取り組んでおります「石灰系珪藻土壁」は、日本の伝統的な塗り壁である漆喰の中に珪藻土を配合したいたってシンプルなものですが、厚み3ミリで古来の土壁の機能に匹敵し、強い調湿機能で結露、カビを防止、室内のホルムアルデヒド等の有害ガスを消去し、シックハウスを防止して、生成するマイナスイオン効果で生活する人の健康、免疫を高めてくれる機能があり、公共・民間建築において14万㎡の施工実績があります。