土壁のようなコンクリート

山梨知彦氏(日建設計)が45年前の東孝光氏の自邸を礼賛している「NIKKEI ARCHIECTURE2012.9.10」
搭状住居
「都心のアバンギャルドな砦」「都市化との格闘」を創造させるが、実際は温かみにあふれた心地よい
住宅だ。その源となっているのは、住まい方を固定しないフレキシブルな構成と、施工後の仕上げを
想定したコンクリートスラブの仕上げ代など、意外なまでの「ラフさ」だ
断熱なしのコンクリート打ち放し
「構造体」兼「仕上げ」という極限の選択である
写真で見るとコンクリート打ち放しであり、型枠を外した状態で一切手を加えない状態の家である
山梨氏は語る
実際に拝見して強く感銘を受けたのは、室内の仕上げの粗さだ
内部の仕上げには、外部と同じ粗い打ち放しコンクリートがそのまま現しになっており
その粗さが民家の土間や土壁のような心地よさをもたらしている
現代建築の持つ高精度な施工性にない「ラフなるもの」の豊かさがある
このラフさが居住空間にふさわしいおおらかさをもたらしている
型枠職人が投げ込んだと思われる吸殻もコンクリートに打ち込まれたままそのままになっている
コンクリートが型枠の間に流し込まれた過程をそのまま物語るような
ラフな天端の納まり、土壁のような温かみを感じさせる
写真で見ればコンクリートやりっ放し、角も、天端も壁面も凸凹、粗面である
土壁は荒壁から、中塗り、多くの土壁仕上げを生み出してきた
それは日本人の持つ美意識が生み出したものと思う
凸凹のコンクリートに住んで土壁の温かみを感じるというが
この日本の冬寒く、夏暑く、湿気の多い気候風土にコンクリート剥き出しは
向かないと思う
粗さ、ラフさがいいのであれば原始の時代に帰るしかないのでは