色むら

エコ・クイーンは左官職人から難しいからやりたくないと言われる珪藻土壁である
失敗の殆どが色むらの発生である。
今年の冬も色むらが発生し、塗りなおした現場がある
色むらは、温度の低い冬期間に発生する
白華が原因である
防ぐには部屋の温度を15度以上に暖めて施工すれば防げる
その説明をしてあげるのだが、そんな面倒くさい壁は嫌だといって
樹脂系の珪藻土壁に替えるケースが多くある
設計図書にエコ・クイーンとあっても他メーカーの珪藻土壁に変られる事も多い
保育所の天井に採用して貰った。
保育所の便所は子供達が汚すので匂いが結構大変らしい
以前エコ・クイーンを施工した保育所が匂わない例を話して、設計事務所に採用して貰ったのである。
その後、音沙汰が無かったので
工事を施工した左官屋の社長に尋ねた
開口一番 エコ・クイーンは職人が難しいから嫌うんだよ
職人が嫌がるものをやれとは言えないよという話であった
石膏系の樹脂を混入した珪藻土壁に替えたようである
石膏系、樹脂混入の珪藻土壁を左官屋が選ぶのは色むらで出にくく、施工が楽だからである
左官業界には残念ながら、塗り壁で良い居住環境を提供するという使命感が大いに足りないと思う
難しい素材でも施工を工夫し、研究して、使いこなしてきたのが左官であったと思うのだが
失敗すれば、メーカーを呼びつけ、材料が悪いと叱責する左官も多い
自分で選んで施工したのだから、本来は自己責任であるべきだと思うのである
メーカーが作ったものを施工を深く研究し、自分のものとしなければ左官の仕上屋のプロとしての
存在感がないのでは
仕事は難しければ難しい程やり遂げた後の感動が深いのである
土壁、漆喰から石膏、繊維壁と楽な壁が出現して、お金ががっぽり儲かった時代があったが
楽な繊維壁は日本の居住環境に適合しない壁でもあったためにあっという間になくなってしまった
左官屋の使命は土壁、漆喰壁の安心、快適な居住環境で日本人の健康を守ってきた事にある
現代の左官は左官職人としての矜持を失ってしまったのである。
楽な壁を塗っていたのでは左官の明日はない
エコ・クイーンは左官の誇りを取り戻せる壁でもある
若い左官職人は大いに挑戦して欲しいものである
現在出回っている珪藻土壁の多くは石膏、樹脂混入の珪藻土壁である
色むらの発生が少なく、作業性がよく、施工が楽だから左官屋の支持も多い
一回塗りの殆ど樹脂の廉価の珪藻土壁もある
設計、建設業界の中には予算が貰えないので機能性はなくても名前だけ珪藻土壁であればよいと
機能性の無い廉価の珪藻土壁を採用する人もいる
お客様を馬鹿にした話である
メーカーも左官が楽な壁を造って左官に迎合するのもよいだろう
しかし、塗り壁の真のお客様は住まう人、生活する人では無いだろうか
居住性を追及せず、作業性の良さを売り物にするのは本末転倒のことである
過酷な日本の気候風土から日本人の健康と命を守れる塗り壁を造る
良心あるメーカーが現れることを期待したい
事の成るは常に窮苦の時にあり
事破るるのは多く得意の時にある