漆喰
漆喰壁は平安時代に誕生した、歴史ある塗り壁である。
最近は漢字で漆喰と表記せず、「シックイ」とか「しっくい」と表記するメーカーが多い
某塗料メーカーのコピー
自然の恵がもたらす健康空間 本格的漆喰塗料「○○○シックイ」
消石灰系仕上げ材
また漆喰とはと説明文があり、
「前略・・・ 健康、環境に貢献する機能性が、近年環境対応型壁材として
注目を集める一方で、従来の漆喰壁は高度な左官技術を必要とし、施工が難しく
施工時間がかかる等の理由から衰退の一途をたどっています。」
左官業界の代弁まで言ってくれているのは有り難い。
他のメーカーも
天然素材をベースに、漆喰調のマットで奥行きのある仕上がりが得られる内装仕上げ材
「しっくいペイント○○○」
従来品とは異なり、ローラ塗りによる簡単でスピーディな施工が可能
売りは
漆喰の持つ調湿機能を第一に酸化チタンを添加したことによる多くの機能を謳っている
消臭機能
VOC吸着除去機能
抗菌機能
結露抑制機能
二酸化炭素吸収機能
防火認定材料
ホルムアルデヒド放散等級
静電気防止機能
いいことづくめである
壁の歴史を振り返ると
縄文時代は竪穴住居であり、床、腰壁は土壁であり、壁は草を束ねた草束ねの壁であった
次の時代 高床式の家の時代は一番初期は網代、板壁である
その次にやっと荒壁、土壁の時代がくる
平安時代に荒壁が完成する
荒壁の上の仕上げは初期は白土を塗った白壁であった
次に漆喰が生まれるのだが
漆喰はノリが無いと塗れない壁であり、初期の漆喰は米ノリを使用していた
米は貴重であり、平安時代は漆喰はあまり普及しなかった
貴族階級でも漆喰壁はせいぜい一間ぐらいであった
室町後期に入り、ノリが海草から採れるようになり一挙に普及した
当時は築城がブームであり、全国のお城に、一般の住居に普及したのである
このように漆喰壁は、荒壁の表面保護材として美観を兼ねて誕生した壁である
日本の気候風土特有の高い湿気を防いでいたのは荒壁 土壁であったのであり
漆喰のみで日本の高い湿気を防ぎ結露、カビを防止するのは不可能である
防止するには漆喰を厚く塗ることが必要となる
漆喰を塗料のように薄く塗って日本の高い湿気を防げるというのは疑問に思う
最近、左官が難しいから。鏝を使用せずに、パテ、ローラ、へら、スポンジ、たわし、人の手などで
施工できるのが売りの「しっくいかべ」「ケイソウド壁」が多く出てきた
早く言えば、技能を必要としない、素人でも誰でも塗れる壁という事だろう
土の壁も縄文時代、また初期の頃は手で塗っていたのである
また土壁は世界中に有り、多くは手で塗っている国も多くある
日本の壁は鍛冶屋が日本刀を鍛えた技で鍛造した鏝で
左官が鍛えた技で塗った壁である
室町時代に日本を訪れた宣教師が、母国に送った手紙に、日本のお城の壁の美しさを讃えている。
日本にも白い大理石があるようだ、なんと美しい白い壁だろうと
人間は感動が無いと生きていけないといわれる
感動を生み出すものは様々であるが、多くは人間技と思えない人間の鍛えられた技能、技に
感動を与えられるのではなかろうか。
素人がつくったものがよいのであればプロは要らないし、汗、血、涙を流さなければ習得できない技
技能、仕事は必要ないと思う