繊維壁が敗れた原因

昭和50年ごろまでの多くの住宅の壁は左官の塗り壁
繊維壁であった。
 左官も儲かったし、メーカーも儲かったと思う。
しかし、繊維壁は湿気に弱い壁であり、カビやすい壁でもあった。
繊維壁は、日本の気候風土、温帯モンスーン地帯の高温多湿の
気候には全く適合しない壁で有ったと思うのです。
 繊維壁がビニールクロスに敗北した理由は勿論価格面、コスト面が大きいと
思う。
しかし、負けた最大の理由は、日本の気候風土に適しない、湿気で崩れる
カビやすいことが原因であったと思う。
繊維壁は湿気に弱く、すぐに表面がぼろぼろ崩れたり、カビが多く発生しみすぼらしくなってしまう壁であった。
次にメーカーがやったことは、繊維壁に樹脂を混入して、強くしたことである。
しかし、樹脂は経年変化に弱く、劣化し壁表面が汚れてしまう欠点がある。
又、繊維壁は素人でも塗れる様な壁であったため、左官の技能低下が進んだ面も否めない。
左官の仕上げの塗り壁が建築から敗退したのは、メーカーだけの責任ではなく、左官業界の責任も大きかったと思うのである。
時代が進み、地球環境重視、健康志向の高まりから、左官の自然素材の塗り壁に関心が高まってきて、珪藻土壁が代表的な存在として知名度が高い。
珪藻土は自硬性が無いので固化材が必要なのだが、多くのメーカーは石膏で固めた仕上げの珪藻土壁を作っている。
左官も施工が簡単という事で石膏で固めた珪藻土壁を使う人が多いと聞く。
日本の石膏は工業製品であり、石膏の致命的な欠点は湿気に弱く、かびやすい性質である。
 簡単で儲かるからといって日本の気候風土に適合しない
石膏系の仕上げの壁を塗っていけば、建築から再び、左官の塗り壁は敗れ去ることであろう。
 メーカーも左官も一時的には利益を得ることはできると思う。
だが世の為、人の為にならない偽者の商品は
いつかは敗れ去ることは歴史が証明している。
時代は情報化時代である。
本物を知る権利、秘密はメーカーの専売ではなく
消費者に移っている。
消費者は裸の王様では無くなったのである。