壁・床コンクリート直仕上げの問題点と解決策

壁コンクリート打ち放仕上げの問題と対策
☆壁コンクリート打ち放仕上げの問題点
① 最大の問題点は壁コンクリート打ち放仕上げの下地調整、誤差の調整塗り
傷補修では左官本来の塗り技能は習得、維持、継承が不可能であり、後継者を育成できない。
壁を平らに塗る、塗り付け鏝を使う厚みある塗り壁は無く、下地調整、しごき塗り、傷補修は
仕上げ鏝しか使用しないので、左官本来の壁を平らに塗る塗り付け鏝の技能を習得出来ない。
② 壁コンクリート打ち放仕上げが規定の平坦さの標準値に完成することは少なく
躯体直しが多く発生している。
壁コンクリート打ち放仕上げは平坦さの標準値に許容範囲を規定した仕上げであるが
各種仕上げの最終段階に於いて、日本の建築は美意識が高いので出隅、入隅、面等の精度に
限りなくゼロを求められるので、許容範囲との誤差の調整塗りを左官が施工している
この躯体直し、誤差の調整塗りは設計図書に無い工事であり、幾ら掛かるか誰にも分からず予算組が難しい
本来打ち放仕上げは左官の塗り壁を無くしてコスト下げる工法なのだが
トータル的には多くの費用が掛かる工法である。
ちなみに打ち放仕上げで著名な安藤忠雄氏は氏の設計に打ち放仕上げを採用したきっかけは
仕上げを無くせば安い建築が出来るにあったと著書で述べているが、日経のアーキテクチュア2014.1-25で
コンクリート打ち放しは永久にきれいなままだと誤解している人がいるがそれは違います
美しく保つためには適切なメンテナンス、維持管理費が掛かると述べている
安藤氏の推薦する会社の、打ち放しのメンテナンス費用は6000円/㎡も掛かるのである
☆ 壁コンクリート打ち放仕上げの対策(左官後継者育成の為に)
① 外壁の左官工事、仕上塗材塗りの下地調整は「公共建築工事・標準仕様書」に認められている厚み10mmの
薄塗仕上げとし、左官工事費に計上する。
② 外壁の壁タイル下地は、「建築工事管理指針」にあるコンクリート直貼りでは無く、厚み10mmの
薄塗仕上げとし、左官工事費に計上する。
③ 壁打ち放仕上げA種は左官仕上げ(例吉田工法・SFC仕上げ)して左官工事費に計上する。
④ 内壁の塗装下地、クロス下地は「標準仕様書」にある既調合モルタル厚み5mmの
薄塗仕上げとして左官工事費に計上する。
☆床コンクリート直押さえの問題点
①床コンクリート直押さえは平坦さの標準値に許容範囲を規定した仕上げであるので
沓摺、戸当たり等見切りが後付工法の為、散り回りの誤差の調整塗り、天候による仕上げ不良
養生なしの後施工の為の傷補修等が発生する工法であるが
補修費用が幾ら掛かるか誰にも分からず予算組が難しい。
☆ 床コンクリート直押さえ仕上げの対策
① 床はコンクリート直押さえの後、SL仕上げとする。
☆左官後継者育成対策(左官が仕上げ塗りの感性を身に付ける為に)
①内壁に省エネ、CO2削減効果があり、快適湿度を保持し、カビ・結露を防止して
住まう人の健康維持に貢献、医療費抑制、温暖化対策に寄与できる、樹脂無添加・漆喰珪藻土壁を採用する