コンクリート打ち放し仕上げの問題点
コンクリート打ち放し仕上げで左官が困っている問題点を記してみた。
コンクリート打ち放し仕上げの問題点
① コンクリート打ち放し仕上げ面補修の問題
☆型枠工事 コンクリー打ち放し仕上げにおいて、仕上がりの平たんさの標準値は3~7mm、3~10mmに決まっている。
平たんさの標準値に完成しない躯体の修正工事を下地調整前の躯体修正(補修・つけおくり)として左官がやっている。
左官工事 仕上塗材仕上げの下地調整において、 下地調整材の塗り厚みは(表15.5.7)C-1は0.5~1mm、C-2は1~3mm、CM-1、CM-2は3~10mmと3段階になっている。
下地調整は厚みにより単価が違うので、単に下地調整では値入ができない。厚みを明記するべきである。
左官業界は最大の10mmの厚みで値入したいのだが左官工事の明細に厚みが明記されてこないので不可能になっている。
塗装工事 素地ごしらえ(下地調整塗り)は厚み2mmとあるが、下地調整塗り厚み2mmで仕上げられるようなコンクリート打ち放し仕上げはできていないので、躯体修正(補修・つけおくり)が必要である。
☆公共工事積算基準には型枠工事にコンクリート打ち放し面補修(目違い払い・コーン処理)がある。公共工事積算基準では特殊作業員がするとあるが実際は左官がやっている。
公共工事積算基準には左官工事明細に下地調整がない。
☆コンクリート打ち放し面補修の用語の意味を、役所、設計事務所、ゼネコン・経済調査会等に尋ねてもそれぞれに解答が違う。
☆設計事務所、ゼネコン、左官業界、経済調査会等では左官工事 下地調整・塗装工事、内装工事(壁紙張り)素地ごしらえ 下地調整塗りを補修と称している。
② コンクリート打ち放し仕上げの各種仕上げ下地のJIS A6916(15.5.2 (b))の仕上げ用語、および各種仕上げに含まれるJIS A6916の仕上げの問題
☆ 左官工事 仕上塗材下地は 下地調整(15.5.5)
タイル工事
タイル下地 標準仕様書はモルタル塗下地(11.3.3)(表11.3.2)
タイル下地 管理指針はモルタル塗り下地と直張り(不陸補修が必要)がある (その他の工法4、「直張り」)(図 11.3.12(ハ))
外壁タイル下地において標準仕様書はモルタル塗りであるが、現在の民間建築の外壁タイル下地はコンクリート打ち放し補修が殆どである。 管理指針にコンクリートに直張り、下地は不陸補修をするとあるからであろう。
塗装工事 塗装下地は 素地ごしらえ(下地調整塗り)(18.2.6)(種別はA、B種)(表18.2.5)
内装工事 壁紙張り下地は 素地ごしらえ(下地調整塗り)(19.8.3)(塗装工事の素地ごしらえ参照)(表18.2.5)
☆ 各種下地に使用する下地調整塗材 JIS A6916は左官の金鏝でしか塗ることは出来ない。各仕上げ業者は施工できず左官技能者が施工している。
公共工事積算基準では塗装工事、内外装工事 壁紙張りの素地ごしらえに左官が含まれている。
公共工事積算基準ではタイル工事には不陸補修はない。
③左官技能の習得、維持、継承の問題
コンクリート打ち放し仕上げの下地調整、素地ごしらえ(下地調整塗り)、補修では、左官技能は習得不可能であり、左官技能の維持継承が不可能。
①の問題の提案
☆左官工事下地調整、塗装工事 素地ごしらえ(下地調整塗り)前の躯体修正(補修・つけおくり)は左官が施工している。
又躯体修正(補修・つけおくり)は型枠工事の出来不出来により左右されるので確実な積算数量は不可能である。一定の枠内で左官工事に積算計上をお願いしたい。
☆公共工事において型枠工事に打ち放し面補修と計上されている工事を下地調整に含めて下地調整
モルタル塗として左官工事に積算計上する。
☆下地調整は塗厚みを下地調整 15.5.5(a)(5)にある10mmで明記する。
理由 下地調整は塗厚みが1mm以下、1~2mm、3~10mmと3段階ある。厚みが違うと歩掛りが違う。単に下地調整では単価が決められないからである。又厚み10mmであれば殆どの不陸調整は含むことが出来る。
(現状は値決め対策として左官側の見積もり条件に厚みを明記するようにしているが、コスト、その他を考慮すると10mm明記は難しい。)
☆角面、役物面角、目地角は躯体の不陸修正が多く発生するので、単位をmで全て下地調整モルタル塗として積算計上したい。
☆下地調整は下地調整モルタル塗りとして、仕上塗材仕上げの中で無く、第2節モルタル塗に入れたい。
理由 仕上塗材仕上げに下地調整が含まれると施工方法が違うのに複合単価となるからである。
☆各業界で左官工事 下地調整、塗装工事・内装工事(壁紙張り)素地ごしらえ 下地調整塗りを補修と誤用しているが正しく用語を使用するよう行政指導をお願いしたい。
②の問題の提案
☆現在塗装工事、内装工事(壁紙張り)に含まれているコンクリート下地の素地ごしらえ(下地調整塗り)は左官でなければ出来ない工事であるので左官工事に積算計上したい。
☆各種下地で使用する下地調整塗材 JIS A6916は左官の金鏝でしか塗れない材料であり又左官でなければ出来ない工法である。
用語を下地調整、補修、不陸補修を下地調整モルタル塗り、補修モルタル塗り、不陸補修モルタル塗とモルタル塗りを付け加えたい。
理由 下地調整、下地調整塗り、不陸補修、補修では何をするのか用語の意味するところが不明であり、下地調整以外はどの業者が施工するのか明確でないので積算において混乱をきたしている。
☆タイル下地に於いて標準仕様書はモルタル塗りとあるが、管理指針に直張り 不陸補修とあれば、コストを考えるとモルタル塗りはやらない。現状ではモルタル塗りは殆ど無く直張りが主流である。
直張りの場合、タイル張り前にコンクリートの不陸補修をポリマーセメントモルタルで行うとあるが、是はどの業者が施工するのか明確でない。
管理指針 下地調整塗材の種類及び呼び名(JIS6916:2006)に
下地調整塗材CM-2 塗厚 3~10mm程度 主な適用仕上材(陶磁器タイル)がある
不陸補修モルタル塗として厚みを明記し左官工事に計上するべきである。
③の問題の提案
左官技能は現場で厚みのある壁を塗って仕上げなければ習得不可能である。
厚塗り、薄塗りの左官の仕上げの壁、モルタル仕上げ、漆喰仕上げ、珪藻土壁等の仕上げ塗り壁を公共工事の壁の一部に採用することを希望する。