モノ作り

トヨタ自動車会長 張富士夫氏がモノ作りについて話している。
モノ作りという言葉には、良いものを作ろうという誇りとか情熱
仲間との支え合いなどの意味が込められています。
心と技を後輩に伝え、育てようとするのが日本の文化で、これが製造業には残っています。
モノ作りはここから生まれた言葉日本の文化なのだと思います。
トヨタは「産業報国」という考えを持って車作りを始めました。
自動車の経済波及効果はとても大きい。国内でたくさんの車を使っていただいている
お返しの意味を考えれば国内にとどまって生産をすべきでしょう。
一方でコストを減らす為に人件費の安い海外に生産を移転させる、という考え方も
流行っています。技術開発は大切だが、生産現場はそうではないということでしょうか。
しかし数字だけで経営は出来ません。
教育と訓練は違います。教育は本を読み、先生の話を聞いて学ぶ事。
訓練は何度も繰り返して体験する事です。
百聞は一見にしかずといいます。
トヨタで「現場の神様」言われた大野耐一氏は「百見は一行にしかず」。
人を育てるには何よりも実践です。
人を育てるには現場という訓練の場が必要です。
手元に現場を残さなければ、長期的に失うものがとても多いと危惧しています。
気がついた時には手遅れになるかもしれませんと語る。
製造業ではかって熟練工の定年退職による技能継承の2007年問題があり
大きな問題となり、様々な対策を講じてきた。
しかし、建設業では2007年問題は問題となることはなかった。
逆に建設業ではなるべく建築から技能要素を無くし、技能工を使用しない工法へと大きく梶を切っているように思う。
モノ作りよりもコストが大事という考えからであろう。
特に伝統技能である、大工、左官、建具等の仕事は建築現場から激減した。
左官で言えば昭和50年頃より設計図書から塗り壁を徹底して無くして来た。
昭和50年からの10年間で左官技能工10万人がいなくなった。
殆どが若手技能者であった。
左官業界、主力は60代であり、10代から40代は極端に少なく、70代の左官も頑張っている。
長い建設不況で元請は簡単に職人の賃金をカットしてきた。
なけなしの若手の技能者が生活が出来ず建設業を離れている。
製造業では技能継承に危惧の声を上げる人が多いが
建設業では寡聞にしてあまり聞いたことが無い。