子供達に豊かな未来を
最近マスコミ上で何故か知らないがキレやすい子供、大人が増えてきているといいます。
訳のわからない犯罪行為が多発し、異常行動、異常心理が指摘されてもいます。
大人も子供も疲れ易い人が増えているようだ。
某大学の体育会系34人の大学生の精子を調べた所、正常者は1人しかいなく残りのの33人は精子が少なく、不妊症と断定されたという。
私はこの異常な状態は日本の住文化の継承がうまく継承されてきていない所に一つの原因が有るのではないかと思っています。
日本人は、日本の風土に適合した衣食住の文化を育んできました。
文化とは民族の最適な生態系の表現でも有ります。
世界一の長寿国を支えてきました食文化は見事なくらい家庭から姿を消しつつあります。例えば味噌汁、漬物、梅干しを食べない子供、若い親が多くなってきました。
住文化も工業化社会の中で大きく姿を変えてきて、プレハブ、輸入住宅等も増えている。
一見欧州風の住宅も多くなってきました。
近来の居住空間は工業製品が多用され、壊れにくい、傷が付かない、強さを求める比重があまりにも多かったと思う。
石油から出来る合成化学物質が多用されているため、「シックハウス」としてその害も広く知られるようになってきました。
火災になれば有毒ガスが発生することにより弱い、老人子供が多く犠牲になっております。
破けない障子、傷が付かない壁、暴れても、壊れない空間が求められてきたのです。
かっての、日本の住まいは木と土と紙とから出来ている空間でした。
明治になりレンガ造り、コンクリート造りに変わりましても、中の壁は漆喰(土壁)を塗って住んできたのであります。
日本の居住空間から漆喰(土壁)が消えたのは新建材が普及してきた僅30年前の事です。
木も土も紙も乱暴に扱えば、壊れる、傷が付く、破れる空間でありました。
木と土と紙が持っている調湿機能により、高温多湿の日本の気候風土に適した空間でもあったので有ります。
このような居住空間で育てられることにより日本の子供達は、物を大切にする、優しさ、思いやりの心、我慢する心が育まれてきたのだと思うのであります。
この居住空間はその調湿機能により、命を、生命力を強くする、居住空間でもあったのだと思います。
最近の異常な社会現象は日本文化の継承を忘れ、効率化、合理化、経済至上主義でやってきた日本人への日本文化のしっぺ返しだとも思うのです。
今こそ先人が英知を傾けて築き上げてきた、衣食住の日本文化の素晴らしさを見直し、正しく継承していくことが22世紀を担う日本の子供達の心身の健康を育むために必要不可欠であると信じるものです
2000.11.24
9年前新聞に投稿したが掲載されなかった文である。当時より子供達の状態が悪くなったと思うのだが。