伝統建築技能

読売新聞で芥川喜好氏が建築家村野藤吾氏について述べている

目黒区美術館で「村野藤吾の建築 模型が語る豊饒な世界」展が開かれている

村野氏は住まう人々、集う人々に対して建築はいかにあるべきか、向き合うべきかを常に考え

時代の流行に乗ることのない、ゆるぎない独自の理論を展開した

芥川氏はこの展示会で講演した建築評論家長谷川尭氏の講演を紹介している

「村野は自分の建築が世の中に出ていくことに対しある原罪意識を持っていた」

「その意識があるからこそ、社会や自然の体系にできるだけ罪を犯さないよう設計していたのではないか」

建築をつくって地球上に置くことは、それがいかに優れたものであれ

建築がなかったもとの自然の状態を何ほどか駄目にする

それをいかに少なく抑えるか

そのことに苦悩し、苦心したのが村野だった・・・・そんな建築家がいたのです」と

 

彼がファサードつまり外面の表情や、細部の造作にこだわったのも

まさに建築が世の中に出た時に人間と接する部分、相まじわる領域だからです

現代の建築をめぐる考えは、混沌かつ混乱の状態にあるようですが

土地に即し、土地に添う、穏やかな思想を根底に据えてもらいたいものです

「野心的」だの「世界的」だのともてはやされるものを、鵜呑みにしない方がいいと

芥川氏は述べる

現代建築は、大工、左官、建具、板金、畳等伝統的建築技能者を

あまり必要としない建築をつくって久しいものがある

安藤忠雄氏の建築がその最もたるものであろう

安藤氏がコンクリート打ち放仕上げを採用したコンセプトは

建築をいかに安く作るには

仕上げをなくせば良いと考えたとある

建築に仕事がないので伝統建築技能は後継者を養成出来ず、消え去る可能性は否定できない

伝統建築技能は自然に還る素材を使用して建築をつくってきた

住まう人、集う人、働く人々にやさしい建築をつくっていたと思う

技能者不足で建築はさらなる、スチールハウス等の合理化、工業化建築を

推進することが建設業が生き延びる方法であると建築関係者は話す

人間の身体は心と一つながりである

自然にやさしい、人間の身体と心にやさしい建築を望みたいものである