合成樹脂の壁

塗り壁には合成樹脂の壁が多くある
外の壁に塗る分には耐候性に問題があるが住む人には関係がない。
中に塗るとなると殆ど湿気を吸収する機能がないので、
住む人の健康を守る点から言えばいい壁ではない。
メーカーに樹脂壁を作る理由を聞いてみた。
価格が高いと左官業者が買ってくれない。
漆喰系・土壁系は施工が難しいので左官が嫌がる。
簡単に塗れる壁を左官業者に求められる。
我々も本物の塗り壁を作りたいのだが売れないものを作っても仕方がない。
この話を聞いて左官屋も落ちたものだと思った。
ここには左官屋の論理ばかりで、塗り壁の目的、使命が分かっていない。
左官の塗り壁の究極の目的は住む人の命を守り、癒し、育む為にある。
素人が塗れる様な簡単な塗り壁(樹脂入りの壁)を左官業界が求めているならば
左官技能者が存在する意味がない。
左官の使命、それは日本人を育み、守ってきた歴史と伝統ある、土壁・漆喰壁で住む人の健康・幸せを提供できることにある。
土壁・漆喰壁は施工が難しい面があるがそこは左官技能者としての誇りを持って乗り越えるしかない。
又、かって左官が持っていた塗り壁の製造権がメーカーに移った現在、心あるメーカーには日本の為に、左官業界の為に本物の塗り壁を製造して欲しいものである。
誰でもできる簡単な仕事は喜びも感動もないと思う。
苦しんで、つらい修練を積んでこそ、自分の仕事に喜びも感動もあるし
周りの人々に感動を与えられるのだと思う。