技能工不足と文化財、歴史的建造物

伝統建築技能といわれる、大工、左官、建具等の技能継承に赤信号が灯って

久しいものがある

若者が入職せず、息子も後を継がない

折角継いだ息子も仕事が無く辞めてしまうようだ

この背景には効率よく、早く、安く建築をつくる方向に建築業界が進んだことがある

官庁もさすがにやっと重い腰を上げて若者の獲得に為に対策を打ち出している

その一つに、文化財、歴史的建造物の修繕工事があるという

左官の技能の習得、維持継承にはひたすら建築現場で仕上げの壁を山ほど塗って覚えるしかない

左官業界は昭和50年に建築の効率化、合理化により塗り壁を無くされて現在に至っている

現代建築には左官技能を習得する塗り壁がないのである

これが左官業界の他の職種に無い問題である

文化財、歴史的建造物は食べものに例えればご馳走である

人はご馳走だけでは生きていけない、生きていくためには御飯が必要なのだ

現代建築は、左官、大工、建具の仕事は皆無に近い

現代建築は、伝統技能工が技能を継承する

生きていいくために必要な御飯が無い建築である

また現代建築は工期の短さをうり、競争にしている

技能の育成には長い時間が必要である

いいものをつくるには熟成の長い時間がかかるものである

工期とご飯を用意しなければ、伝統建築技能業界に若者は入って来ないであろう