乾ききった時代

岩手県釜石市で 復興公営住宅が2月26日竣工した
4棟で総戸数156戸
職人不足対策として、部材を工場で製作し、現場で組み立てる手法である
鉄筋コンクリート造りでは19か月かかるところを12か月で完成した
建物はスチール・コンクリート充填H型鋼・構造面材パネルを工場で製作し
現場で組み立てるスチールハウス工法であり、
型枠大工、鉄筋工を出来るだけ減らした工法である
当然左官の塗り壁は皆無だろう
五木寛之氏が
週刊新潮2015.3.26号
生き抜くヒント
「乾いた時代の中で」と言うエッセーに
時代は乾いてしまった、情というものが嫌われる時代と嘆いている
戦後の建築界では湿式工法から乾式工法への大転換がおこなわれた
昔家を建てる時にはいろんな場面で水が大量に使われていた
いまではまったく水を使わなくてもビルが建つという
金属とガラスとプラスチックですむのである
乾式工法とはそういうことらしい
最近、地方の文化ホールとか、その手の施設はどこも灰色が基調で
楽屋の内装なども、判で押したように画一的だ
乾いている
湿度が殆どない
いま時代は乾ききっているかのようだと嘆いている
鶏がゲージ飼育で大量に卵が生産されてきた
60センチのゲージに6羽も押し込まれ、眠ることも許されず
卵を産み続ける機械と化した
その卵を食べて人は何ともないのだろうか
職人不足で職人をなるべく使わない工法へ建設業界は向かっているようである
職人を育てる建築、工法を考える人はいない
日本から建築職人は確実にいなくなるだろう
乾ききったスチールハウスに住んで人は幸せに、健康に過ごせるのだろうか
今古民家が外国人にブームであるようだ
ある外国人が言っていた
古民家は日本の宝である
古民家は職人の技能の結晶である
スチールハウスは100年後に何と評価されるのだろうか