パターでショットは出来ない
左官業界高齢化しているのだが
これほどとは思ったのは
某スーパーゼネコンが左官の75歳の職長を指名で
働いてもらっているという
現場がよく分かっているという理由だからなそうだ
以前60歳以上は、出入禁止といっていたゼネコンである
いつまで指名するつもりなのだろうか
左官業界世代交代をしようにも、中堅、若者がいなくて殆ど出来ない状況である
若い職人を使っている若手の社長が悩んでいる
若手にどうやって左官の技能を教えたいいのかと
建築に左官の塗壁が殆ど無い現況
現在の左官のメインの仕事
コンクリート打ち放し仕上げの補修
コンクリート打ち放しの下地調整と呼ばれている
薄塗りモルタルでは左官の塗りの技能を覚えられないのである
70代の現役の親方に嘆かれた
若い職人が平らな壁を仕上げられない
俺の方が上手くて、早い、困ったものだと
町場の親方がこぼしていた
壁塗りなんて殆ど無い
ブロック積み、住宅の基礎工事でなんとか食べていると
この共通する悩みは設計図書から塗り壁を無くされたために
起った現象である
左官の鏝は肉厚の厚い塗りつけ鏝、肉厚の薄い仕上げの角鏝に大きく分類される
塗りつけ鏝で厚みのある壁を平に塗ることにより塗る技能を習得する
その後、仕上げ鏝で表面を押さえて仕上げる
塗りつけ鏝は素人では使えないが、仕上げ鏝は素人でも使える鏝である
現在、壁の主流の塗りやすく出来た、珪藻土壁等の薄い壁は、薄い鏝で仕上げる
今、DIYで女性、子供が珪藻土壁を塗っているのは薄い鏝である
ゴルフの道具に例えれば
厚みのある鏝はドライバー、アイアンである
薄い鏝はパターである
ゴルフはドライバー、アイアンの技を習得するには
よくダンプ1台のボールを打てといわれる
パターは子供でも打てる道具である
ドライバー、アイアンでパットを打てないことはないが
パターでショットを打つことは不可能であり、ゴルフにならない
左官も厚い鏝を使いこなしてこそ、左官職人であり
薄い鏝しか使えないのでは一人前の左官職人とはいえない
ゴルフは練習場か、ゴルフコースに行かなければシングルがダボプレーヤーになる
左官も現場で壁を塗っていなければ技能は落ちる一方である
伝統ある、土壁、本漆喰壁は薄い鏝では塗れないのだ
現在の塗り壁のない設計図書、建築では
若手に左官の技能は教えられず、技能の維持も難しい
世界で一目も二目も置かれている
日本の左官技能は消滅する怖れがあるのである