打ち放仕上げ左官問題点と解決策
昭和50年頃より、建築の内外壁が左官の塗り壁から
コンクリート打ち放し仕上げに変わってから左官工事の契約外工事が多く発生し
工事代金を支払って頂けないトラブルが多く発生している。
◎この打ち放仕上げの問題点の一点は打ち放仕上げの「補修」と「下地調整」
の見解、認識が、国土交通省と設計、建設、左官業界で違うことにあると思う。
★打ち放し面補修の見解
打ち放し面補修 | ||
国土交通省は | Pコーン埋め・目違い払い | 公共建築工事積算基準に
A、B、C種あり (建築工事第6節型枠工事に含まれる) 施工は特殊作業員。 |
設計・建設・左官業界は | Pコーン埋め・サンダー掛け・しごき塗り | と認識されて左官が施工している。 |
下地調整は「公共建築工事標準仕様書、以下{標準仕様書}」左官工事
5節に仕上げ塗材仕上げ工事の中にあり、仕事概要は「サンダー掛け・しごき塗り」である。
この下地調整と同じ仕事概要を設計、建設、左官業界では
打ち放し面補修と称して正しく認識されていない。
★下地調整の見解
下地調整 | ||
国土交通省は | サンダー掛け・しごき塗り
|
公共建築工事標準仕様書に
(左官工事第5節仕上塗材仕上げに含まれる) 「塗り厚み2mm以下・3~10mm」と規定。 |
設計・建設・左官業界は | 打ち放し面補修と称している | 「塗り厚み規定無し」。 |
今後、設計、建設、左官業界が打ち放し面補修と下地調整の違いを正しく認識し
使用していきたいものである。
◎打ち放仕上げの問題点のもう一点は左官工事の正確な積算が
出来ない点と左官技能者を養成出来ない二点にある
★一点目左官工事の正確な積算が不可能である
①躯体事業者が「標準仕様書」に定められた打ち放仕上げの平坦さ(精度・誤差)
『3mで7mm』を確保出来ず、コンクリート補修、躯体直し、つけおくりが発生するが
しかし躯体事業者には直す技能は無く左官工が施工している。
②日本人の美意識は「標準仕様書」の認められた打ち放仕上げの平坦さ
(精度・誤差)『3mで7mm』を許さず、認められた(精度・誤差)をゼロにする
調整塗りを左官工が施工している。
③A種打ち放仕上げは本来「Pコーン埋め」をして完成である。
実際には左官がコンクリート補修・躯体直し、入隅、出隅の欠け直し
ピンホールの穴埋め、壁表面の色むら、汚れ落とし
全面・部分化粧塗装仕上げ(ファンデーション工法等
をやって完成させている。
以上の①②③工事は施工数量、程度が予測出来ず正確な左官工事の積算が不可能である。
★二点目打ち放仕上げでは左官技能が習得不可能であり後継者を養成出来ない
本来の左官技能は塗り付け鏝でモルタル等の厚みある壁を塗り平らな壁面にし
壁表面を綺麗に押さえて仕上げる工法である。
躯体直し、下地調整塗り(しごき塗り)、誤差の調整塗りは
仕上げ鏝の角鏝、押さえ鏝のみで仕上げられる工法であり
美意識の優れた日本の左官技能は習得出来ず後継者を養成することは不可能である。
◎打ち放し仕上げの問題点の解決策案
打ち放仕上げ問題の解決策案を提案したい。
現状のA種打ち放仕上げはPコーン埋めのみでは完成しない。
A種打ち放仕上げは「左官化粧打ち放仕上げ{ファンデーション工法等}」として積算をお願いしたい。
現状B種打ち放仕上げは下地調整「塗厚2mm」で仕上げられる躯体の程度(精度)は100%出来ていない。
下地調整塗厚「10mm」であれば仕上げは可能であり
①、②、④の打ち放し仕上げ問題点は解決出来るのでB種打ち放仕上げは
下地調整「塗厚10mm」で積算をお願いしたい。