野丁場左官の改革

現代の野丁場左官工事(RC造 etc)において、コンクリート打放し仕上に伴う素地調整が主体となっているが、残念ながら左官の技能を習得することはできない…

左官本来の技能とは、「不陸のある壁を高い部分は薄く、低い部分は厚く材料を塗り付けて、平らな壁を仕上げる」ことにある…

その為に使う鏝は「塗り付け鏝」という、鏝厚みがあり剣先の尖ったものである…

しかしながら、現代の野丁場左官の素地調整は「シゴき」と言われるもので、打ち上がった躯体なりに躯体表面を仕上げる為、「角鏝」と言われる厚みの薄い鏝を使用し、材料の塗り厚も薄い…

このまま野丁場左官の仕事が、躯体なりの素地調整だという状況が続けば、厚みのある壁を塗り、仕上げることができる職人は居なくなってしまうだろう…

「何とか野丁場の現場で、厚みのある壁を塗るようにならないものか…」という強い願望を抱きながら2年ほど前から研究を続け、ようやく工法化にこぎつけた…

RCの壁を、左官材で仕上まで行うことで、大幅な工期の短縮、施工管理、施工コストを下げるだけでなく、意匠的にも重厚感、高級感がある建物に仕上げることができる…

また、厚みのある壁を塗り、仕上げることができる為、若手職人の技能を習得させることができる、元請にも施工者側にとってもメリットがある壁である…

野丁場左官=コンクリート打放しの素地調整…という致命的な現状を、何としても打開していく。