寒い家

建具屋が建てた御殿のような家があった、木舞荒壁の家である

住んでいた職人夫婦が新しい家を建てて引っ越した

引っ越した当初は

前の家は冬寒くて大変だった

新しい家は冬暖かくて子供達も喜んでいると嬉しそうだった

ある勉強会で久しぶりに彼女から新しい家の住み心地の話があった

古い家は冬寒くて、夏は涼しい家であった

新しい家は、高断熱・高気密のつくりで断熱材が多く使われていて

冬は暖かいが、夏も暖かい家である

24時間空調機が稼働しているのだが、空気が動かず圧迫感があるという

無くなった建具職の父が生前言っていた

今どきの家は日本の家では無いと慨嘆していた

意味が分かったような気がすると

以前の家は、夏はクーラーなしで空気が流れる家であったのだろう

全国健康住宅サミットを主催する矢野宣行工学博士は

日本住宅新聞紙上で

良い室内環境「健康、快適、充実、満足感、くつろぎ、疲労回復、精神安定」を獲得するには

悪い外部環境「厳しい暑さ・寒さ、高湿度、低湿度、風が止まって蒸し暑い時、空気汚染、悪臭、有毒ガス、放射性物質、花粉、塩分などの飛来、騒音」などから遮断するしかない

つまり、高気密・高断熱化(健康住宅化)という補足手段が必要と述べている

外部環境が悪化した時には適切な空調装置を動かして室内を爽やかにできるという

建具屋の家は矢野博士から見れば健康住宅とは言えないだろうが

冬の寒ささえ我慢すれば空調なしで夏を快適に過ごせた家であったに違いない

家の専門の高名な学者が揃って、冬寒い家は健康に悪い、高断熱・高気密しなさいとの論陣をはっている

冬寒さに負けない身体を鍛えつくるのが先決で、大事であると思う