こまい壁

茶室 「延年堂」東日本大地震災害復旧工事

東日本大震災で被災した、和田祐之介邸の庭に移築されている
築140年以上になる茶室「延年堂」の復旧工事を施工した
「延年堂」は徳川斉昭公の命名という
延年は不老長寿の象徴といわれる菊の異称であり、長寿を願う意味がある
菊の別名に「齢草・よわいぐさ」《齢を延べる草の意》があり
同じく長寿の意味があるのからきているのかも
偕楽園の好文亭の、「好文」は梅の花の異称である
ちなみに羊羹の「虎屋」の生菓子に「延年」があり、菊の花の生菓子である
「延年堂」は一期一会の茶会に集う人々の長寿を願い名付けられたものと
思われる
土壁が崩れて分かったのは、こまいを編んだ紐が現代工法のビニールであった事だ
移築の時に京都の左官が施工したというが、茶室の土壁は特に薄いので地震に
耐えられなかったのであろう
今回はこまいの強度を補強し、棕櫚縄で縛って仕上げたので
今度の地震以上には耐えられる壁になったと思う
茨城県はこまい、土壁の左官仕上げは殆ど無いので、非常に勉強になった現場であった
今後100年、200年と年月を重ねて、名前通りの長寿の茶室になることを
祈りたい