ごあいさつ
株式会社根子左 代表取締役 根子 清
近代において建築は合理化、効率性を追求するあまり、画一的な、単なる箱、器を作ってきたのではないでしょうか。コンクリート剥き出し、鉄、ガラス、化学物質が多く使われてきました。強い、壊れない、傷をつけにくい、汚れにくい空間が求められてきました。しかし、かっての日本人は、木と、土と、草と、紙から出来ている空間に住んでいました。又、居住空間に神、祖先をまつり神おわす場所として拭き、清めることにより清しい空間にしてきました。この空間は乱暴に扱えば傷がつく、汚れる、壊れる空間でもありました。そのような空間に住み、生活することにより、子供たちに物を大切にする心、優しさ、思いやりの心と健康な身体を育くんできたのだと思います。コンクリート造の建物でもかっては、室内の壁に、漆喰、ドロマイトプラスターを塗っていました。日本人は英知を傾けて、気の遠くなるほどの長い年月をかけて、日本の気候風土に適合した居住空間を作ってきたのだと思うのです。それが木と、土と、草と、紙とで出来ている空間でありました。その空間は人間の命を強くする、癒す、生命力を育む、思いやりのある心を育む、人間に快適な、地球環境を汚さない空間だったと思います。最近マスコミ上で青少年の異常心理行動が引き起こす事件、キレル子供達、何故か疲れる、疲れやすい大人、子供達が数多く報道されております。居住空間が幼児、青少年、人間の心と身体に与える影響を真剣に考えて見たいものです。日本の居住空間から漆喰、ドロマイトプラスターが消えたのは昭和52年頃のことであります。左官の技能は土、自然素材を扱う技能でも有ります。今こそ、日本の気候風土に適合した、日本の建築文化でもある、土の文化を見直す時が来たと思います。弊社はこれからも日本人にとって、より良い居住空間造りのお手伝いをしていくことをお誓いしましてご挨拶と致します。